
確認基準日:2026年11月7日(日本時間)
AIやITの導入に使える補助金・助成金はあります。ただし、対象者、所在地、導入するサービス、申請時期によって利用できる制度は変わります。
この記事では、全国制度と自治体制度を比較し、個人事業主も使えるのか、何を準備するのか、審査から入金までどう進むのかを整理します。
「AI補助金」は、AIに関係する支援策を探す際の呼び方であり、一つの制度名ではありません。
2026年の「デジタル化・AI導入補助金」は旧IT導入補助金に当たりますが、名前にAIが入ったからといって、好きな生成AIサービスの料金を自由に申請できるわけではありません。
補助対象経費は、制度が支援すると定めた費用です。請求書の総額すべてが対象になるとは限りません。
対象経費に補助率を掛け、上限額や経費別の制限などを反映した金額が補助額の目安になります。
説明用に、税抜60万円の費用が全額対象となり、補助率1/2、上限20万円だと仮定します。
60万円の半分は30万円でも、補助は上限の20万円まで。
税抜費用の自己負担は40万円となり、対象外の費用や消費税の扱いは別に確認します。
この計算は制度を理解するための想定例です。
また、多くの導入支援では、先に事業者が代金を支払い、実績報告や検査を経て補助金が交付されます。
自己負担分だけを用意すればよいとは限らず、いったん全額を支払える資金計画が必要です。
デジタル化・AI導入補助金も、導入・支払い後の証拠書類を提出し、確定した補助額を確認・承認する手続きがあります。
「補助金は審査あり、助成金は条件を満たせば必ず支給」と、名称だけで分けるのも適切ではありません。
人材開発支援助成金では、事前の計画届に加え、訓練後の支給申請と審査が必要です。
届出が受理されても、受給が確約されるわけではありません。
デジタル化・AI導入補助金の対象には、要件を満たす個人事業主も含まれます。
たとえば一般的な小売業は「資本金5,000万円以下、または常時使用する従業員50人以下」、製造業・建設業・運輸業は「資本金3億円以下、または300人以下」という規模区分です。
特定業種や法人形態には別の基準があるため、自社の主たる業種に照らします。
同制度の小規模事業者は、商業・サービス業では原則5人以下、宿泊業・娯楽業や製造業その他では20人以下。
単に売上が少ない企業を意味するわけではなく、補助率が変わる場合もあります。
開業直後の事業者は、創業からの年数だけで判断できません。
通常枠の公式FAQは、要件を満たし、必要書類を用意できる場合は申請可能と説明しています。
確定申告書や納税証明書などが揃わない段階では、希望する制度に申請できないことがあります。
副業でも、事業実態や必要書類を含む条件の確認が先です。
全国制度でも、国内での事業実施などの条件があります。
自治体制度では、本店登記が区域内にあることを求めるものと、店舗・事業所が区域内にあることを求めるものを区別しましょう。
久留米市の制度は、市内に事業所を有し、事業を実施していることなどが条件です。
住所だけでなく、どこで使うソフトなのか、設備をどこへ設置するのか、市税の滞納がないかまで確認します。
経営者の自宅住所が対象地域にあるだけで、対象と決めることはできません。
ここでは、ソフトウェア、経理、セキュリティ、省力化設備、研修、地域のデジタル化支援から6つを選びました。
同じ制度の別枠を含みます。
募集状況は確認基準日時点の公式掲載に基づき、予定と受付中を分けています。
金額・割合には、それぞれ要件と経費別の制限があります。
候補が複数ある場合は、AITTの補助金検索で、所在地・事業形態・使いたい目的から探せます。
自治体制度も含めて候補を確認し、公式要領へ進んでください。
会計、販売・在庫管理、顧客対応などのソフト導入を検討する中小企業・個人事業主に向く枠です。
対象は、登録されたIT導入支援事業者が提供する登録ITツール。
ソフト購入費やクラウド利用料の最大2年分に加え、所定の導入設定・研修・コンサルティングなども対象経費に含まれます。
補助額は、1種類以上の業務プロセスで5万円以上150万円未満、4種類以上のプロセスで150万〜450万円。
プロセスとは、会計や在庫管理といった業務の区分です。
汎用的な自動化・分析ツールだけの単独申請はできません。
原則の補助率は1/2以内。
7次では、2025年10月〜2026年9月のうち3か月以上、所定の賃金帯で雇用する従業員が全従業員の30%以上となるなど、最低賃金に関する条件を満たす場合に2/3以内となります。
少額の申請でも、過年度の交付歴によって賃上げ計画が必須になるため、現在の公募要領で確認が必要です。
7次締切は12月1日17時。事前にGビズIDプライム、SECURITY ACTION宣言、支援事業者・ツールの選定を進めます。
AITT詳細:通常枠の対象条件を見る
請求・会計・受発注・決済を整えたい事業者は、通常枠と比較したい類型です。
インボイス対応ソフトの対象機能数によって申請できる補助額が異なり、上限は350万円。
補助額50万円以下の部分は中小企業3/4以内、小規模事業者4/5以内、50万円超の部分は2/3以内です。
対象ソフトと併せて、その使用に必要なPC・タブレット等も申請できます。
こちらは補助率1/2以内、補助額上限10万円。レジ・券売機等は上限20万円ですが、ハードウェアだけの申請はできません。
AIによる仕訳補助などが付いていても、判断の軸は対象機能、登録内容、経費区分です。
「AI搭載だからこの枠を使える」とは考えず、導入したい会計・決済機能から確認します。
7次締切と事前手続きは前項と共通です。
AITT詳細:インボイス対応類型を見る
業務のクラウド化に合わせ、監視や相談対応などのセキュリティ体制を整えたい事業者向けです。
IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、さらに本補助金のITツールとして登録されたサービスが対象になります。
補助額は5万〜150万円。中小企業は1/2以内、小規模事業者は2/3以内で、サービス利用料は最大2年分です。
市販のセキュリティソフトなら何でも対象になるわけではありません。
生成AIそのものの導入費を支援する枠ではなく、業務システムを運用するための対策として検討します。
7次締切は12月1日17時です。
AITT詳細:セキュリティ対策推進枠を見る
人手不足の解消が目的で、登録された省力化製品を導入する中小企業等に向きます。
一般的な生成AIの月額契約を支援する制度ではなく、製品カタログから選び、登録販売事業者と共同で申請する仕組みです。
2026年3月19日の改定後は、通常の補助上限が従業員5人以下で500万円、6〜20人で750万円、21人以上で1,000万円。
大幅な賃上げの条件を満たす場合は、それぞれ750万円、1,000万円、1,500万円となります。
補助率は1/2以下で、製品別の補助上限なども確認します。
随時受付中で、受付期間は2027年3月末頃までの案内です。
GビズIDプライムの取得、対象製品と販売事業者の選定、省力化・生産性向上の計画が必要になります。
設備の導入後も使う人や運用方法を決め、保守費用を含めて比較しましょう。
なお、同補助金の「一般型」第9回は、11月4日に公募開始、申請受付は12月上旬、締切は12月下旬の予定です。
11月7日時点で申請受付中とは扱いません。
個別設計の設備・システムを検討する場合は、AITTの一般型詳細と公式公募要領を確認してください。
AIやDXに伴う従業員の研修を検討する事業主向けです。
対象は、雇用保険被保険者である従業員などの所定の訓練であり、経営者自身の受講費を一律に支援する制度ではありません。
経費助成は中小企業75%、大企業60%。通常の通学・同時双方向型などでは、訓練時間に応じた1人1訓練の経費助成限度額があり、中小企業は30万・40万・50万円です。eラーニング・通信制は中小企業15万円、大企業10万円が限度。
賃金助成は中小企業1人1時間1,000円、大企業500円ですが、eラーニング等は経費助成のみなど実施方式による違いがあります。
原則として訓練開始6か月前〜1か月前に計画届を提出し、訓練後に支給申請を行います。
2026年8月3日以降の計画届に適用される改正も確認してください。
営業担当者が生成AIを使って商品提案書を作る訓練は対象例として示される一方、特定業務への適用を伴わない汎用プロンプトの講座は対象外例です。
AITT詳細:リスキリング支援コースを見る
久留米市内で事業を行い、市のデジタル技術導入・活用支援事業でアドバイザーの提案を受けて取り組む事業者向けです。
全国制度の登録ツールだけでは探しにくい、地域の相談支援と導入費補助を組み合わせた例といえます。
補助率1/2、上限20万円。ソフト・クラウド利用料、所定の委託費、デジタル人材育成費などが対象候補です。
機器購入費は補助上限10万円で、ソフトとの併用が条件。
ウェブサイト関連費は補助額の1/2まで、上限10万円で、単独申請はできません。
補助金の申請期限は12月28日ですが、前提となる支援事業の申込期限は11月30日です。
事前支援の公式ページにある「残り15社程度」は9月1日時点の情報で、現在の残枠を示す数字ではありません。
両事業とも予算到達で受付終了となるため、未利用の人はまず支援を受けられるか市へ確認します。
市の交付決定後に発生し、2027年1月31日までに事業・支払いが完了する経費が対象です。
月額利用料は事業実施期間分のため、全国制度の「最大2年分」と同じ計算はできません。
AI専用の制度ではなく、導入予定の内容が提案・対象経費に合うかを照合します。
AITT詳細:久留米市の対象条件と公式リンクを見る
対象可否は、次の3つを分けると誤解を減らせます。
ChatGPT、Claude、Geminiというサービス名だけでは結論を出せません。
同じサービスを基盤に使っていても、直接契約する月額プランと、登録事業者が提供する業務ソフトでは申請上の扱いが異なり得ます。
契約前に「商品名・プラン・期間・費用内訳・登録番号」を揃えて相談しましょう。
APIの従量課金にも注意が必要です。通常枠は交付申請時に利用金額が定められないものを対象外としています。
API利用料を見込額だけで申請できるとは限りません。
また、個別のシステム開発費、導入設定費、研修費は同じ経費ではありません。
通常枠の導入関連役務と、自治体制度の技術開発委託費、助成金の職業訓練費を分けて確認します。
会計・請求、販売・在庫、顧客管理は、通常枠の対象となる業務区分に含まれます。
問い合わせ対応、OCRによる文書処理、転記・承認の自動化を検討する場合も、業務上の課題とツールの登録・対象機能を結び付けて確認してください。
セキュリティは所定サービス、従業員教育は研修条件というように、目的が変わると確認先も変わります。
たとえば「請求書をOCRで読み取り、会計へ連携する」は説明用の想定例です。
読み取り精度だけでなく、確認・修正にかかる時間まで含めて導入効果を考えます。
「AIを使いたい」だけの計画より、月何件の処理を、誰が、どの手順で行っているかを整理する方が、製品比較にも申請準備にも役立つでしょう。
IT導入補助金2020・A類型の公式事例では、ズイカインターナショナルがクラウド型ホテル管理システム「陣屋コネクト」を導入しています。
従来はホテル内でしかシステムへアクセスできず、営業部門は空室状況を電話やメールで確認していました。
導入後は営業部門が空室をリアルタイムで把握し、経営側も部門別の売上を確認できるようになったと紹介されています。
これは実在する過年度のIT導入事例で、生成AIの事例ではありません。
2026年の対象可否や登録プランは別途確認が必要ですが、情報共有の手間を減らすという導入目的は参考になります。
事業実態、財務・納税状況、導入内容と金額は、多くの制度で確認する事項です。
一方、GビズID、SECURITY ACTION、登録事業者との共同申請などは制度固有の条件です。
下表の項目が、すべての制度で必須という意味ではありません。
デジタル化・AI導入補助金の7次は、10月9日の変更案内で、1人当たり給与支給総額の向上に関する要件が追加されています。
通常枠では、申請額150万円以上か、過年度交付歴があるかなどで賃上げ要件が分かれ、適用除外もあります。
以前の募集回の解説だけを読んで「賃上げは任意」と判断しないでください。
見積書では、ソフト本体、初期設定、研修、保守、機器、申請代行を分けます。
対象外費用が混在すると、予定していた補助額を受けられない可能性があります。
計画書には現状の作業量、導入後の運用、担当者、費用の根拠を揃え、販売事業者任せにせず申請者自身が内容を確認しましょう。
準備開始から申請までの時間、申請から交付決定までの時間、実績報告後に入金を待つ時間は別です。
公式日程から分かる代表例を整理します。
49日は公表日程の暦日差を編集部で計算したもので、予定どおりの交付決定を保証しません。
一般的な導入補助では「申請・審査→交付決定→導入・支払い→実績報告→補助額の確定→請求・承認等→入金」と進みます。
実績報告期限まで待たず、完了後に必要書類を整えることが資金回収を遅らせないための準備になります。
採択と交付決定が別になっている制度にも注意が必要です。
省力化投資補助金の一般型などでは、採択後に交付申請・審査へ進むため、採択通知だけを根拠に契約してよいとは判断できません。
カタログ注文型は応募・交付申請を共同で行う案内となっており、同じ省力化投資補助金でも手順が異なります。
実績報告や支給申請から振込までの一律の日数は、今回確認した資料からは確定できません。
不備修正や審査状況も関わるため、導入日から逆算した資金繰りを用意し、必要なら事務局へ支払い見通しを確認します。
デジタル化・AI導入補助金は、交付決定前の発注・契約・支払いを行うと補助を受けられません。
見積の取得と、正式な発注・有料契約は分けて進めましょう。
人材開発支援助成金は別の手順なので、すべてに同じ「交付決定後」という条件を当てはめず、計画届の期限や訓練開始条件を確認します。
契約期間と補助対象期間も一致するとは限りません。
年額契約の全額が対象か、期間按分が必要か、利用開始と支払いをいつまでに終えるかを確認します。
通常枠では消費税、申請・報告の代行費などが対象外です。
補助されない更新料や運用費も含め、翌年度以降に無理なく継続できるか見積もってください。
国と自治体の制度を併用できるかは、財源、事業内容、経費の重複、各制度の規定で判断します。
同じ請求書を二重に申請してよいという意味ではありません。
通常枠の公式FAQは、国・中小機構の別制度について、対象となる事業内容が重複しない場合の申請可能性を示しています。
併用を考えるときは、双方の窓口へ費用の振り分けを具体的に説明します。
見積書、契約書、請求書、納品・利用開始の資料、支払い記録は、申請時から整理して保存します。
保存期間は交付規程・支給要領を確認し、クラウドの請求画面なども後から取得できるか確かめましょう。
導入後の効果報告、賃上げ条件、取得財産の処分、契約の解約などにも規定があります。
通常枠等では、条件未達や必要な報告を終えない場合に返還が生じることがあります。
申請内容を偽ったり、実質負担を隠す不適切な取引を行ったりしないことはもちろん、研修事業者の「実質無料」という説明も、費用負担の条件と照合すべきです。
AI TOP TIERでは、AI・DXの補助金・助成金検索ページを公開しています。
全国制度に加え、所在地に合う自治体制度を探す入り口として利用できます。
11月7日の実画面では、福岡県から久留米市を選ぶと、市の制度と全国制度が候補に表示されました。
制度詳細から公式募集ページへ進むリンクも確認しています。
条件を変えて探し直すときは「条件をクリア」を使えます。
表示結果は、申請を検討する候補です。
所在地や事業形態が一致しても、事前支援、対象経費、過去の交付歴などの条件が残ります。
検索ページで候補を絞り、公式要領で申請可否を確かめる順番で活用してください。
まず、減らしたい作業と必要な機能を決め、その費用を支援する制度を探しましょう。
候補が見つかったら「事前手続きに間に合うか」「契約してよい時点はいつか」「入金まで立て替えられるか」の3点を確認します。
補助額の大きさだけで製品を選ばず、支援終了後も使い続けられる費用と運用かを見極めることが、導入を無駄にしない判断につながります。

