
Sakana AIが2026年9月11日に発表したFugu MaxとFugu Ultra v2は、どちらも複数モデルを内部で使い分けるオーケストレーション型AIです。
ただし、狙っている位置は異なります。
Fugu Maxはコスト効率を重視し、Ultra v2は複雑な推論やソフトウェア開発などで高い出力品質を狙うモデルです。
料金差も大きく、特にUltra v2は1リクエストのコンテキストが272Kを超えると単価が上がります。
Fuguは、ユーザーから見ると1つのモデルAPIですが、内部では複数のモデルやエージェントを組み合わせて処理します。
Sakana AIは、単一の巨大モデルだけに依存せず、タスクに応じて適切なモデルを組み合わせる設計を採っています。
Fugu Maxはオープンウェイトや専門モデルのプールを拡大し、コストと性能のバランスを重視します。
Ultra v2は複雑なマルチステップ推論、調査、フルスタック開発など、品質を優先したい用途を想定しています。
Fugu MaxとUltra v2を、一般的な軽量モデルと上位モデルの関係として見ると違いを捉えにくくなります。
Sakana Fuguは複数のモデルやエージェントを内部でオーケストレーションする仕組みで、Maxはコスト効率側、Ultra v2はピーク性能側へ設計上の重点を置いています。
つまり、同じ入力を一つの固定モデルだけが処理するサービスではありません。
タスクに応じて複数の能力を組み合わせるため、単純なパラメータ数や「○Bモデル」という比較では選びにくいタイプです。
利用者側では、最終的な品質、料金、長文時の単価を見て選ぶ方が実用的です。
Fugu Maxは長い入力でも単価が固定です。
Ultra v2は高性能側のモデルですが、長文を大量に入れるワークロードでは料金差が広がります。
Fugu MaxとUltra v2の料金差は入力だけではありません。
通常帯でも出力単価はMaxの$6に対してUltra v2は$30で5倍です。
長いレポート、コード生成、大量の説明文など、出力が膨らむ仕事では入力料金以上に差が出ます。
たとえば入力20万・出力5万トークンの処理を単純計算すると、Maxは入力約$0.40+出力約$0.30で約$0.70、Ultra v2の通常帯は入力約$1.00+出力約$1.50で約$2.50です。
実際にはオーケストレーションやキャッシュ、ツール利用などの要素が加わるため、これは料金構造を理解するための概算です。
ここで最も誤解しやすいのが272Kです。
これは月に272Kトークン使ったら値上がりするという意味ではなく、リクエストのコンテキストが272Kを超える場合の料金区分です。
大量のPDF、巨大なコードベース、長期間の会話履歴などを1回のコンテキストへ詰める用途ではUltra v2の高単価側へ入る可能性があります。
逆に、月間総量が多くても1回ごとのコンテキストが272K以下なら通常単価です。
Ultra v2では、コンテキストが272Kを超えるかどうかで入力・出力・cached inputの単価が変わります。
そのため、300K前後の長文を毎回そのまま渡す設計では、わずかに境界を超えるだけでも高単価側が適用される可能性があります。
長い資料を毎回フル投入する必要がないなら、検索やRAGで必要箇所だけ抽出する、固定資料はキャッシュを活用する、タスクを分割する、といった設計でコストを抑えやすくなります。
一方、文書全体の整合性を見る必要がある場合は、分割による品質低下とのバランスが必要です。
単純化して入力だけを見ると、100万入力トークンはMaxで$2、Ultra v2の通常帯で$5です。
1000万なら$20と$50になります。
ただし実際の請求には出力、キャッシュ入力、内部オーケストレーション、Web検索などが加わるため、この数字だけで総額は決まりません。
特にUltra v2で272K超の長文を頻繁に処理する場合は、入力単価が$10になります。
長文PDFを丸ごと毎回渡すより、必要部分を検索・抽出してから送る設計の方が費用を抑えやすいケースがあります。
毎日少量ずつ試す個人利用では月額プランの方が予算を固定しやすく、本番システムや利用量が大きく変動するワークロードでは従量課金の方が扱いやすくなります。
Sakana AI自身も、本格的なワークロードにはToken Plan、日常的なハンズオン利用にはSubscription Planを案内しています。
ただし月額プランの利用枠は、公開ページ上で「Standardの何倍」という形が中心で、厳密なトークン数へ単純換算できません。
APIコストを細かく予測したい場合は、従量課金の単価を基準に見積もる方が計算しやすいです。
Sakana AIは日常利用向けにStandard $20、Pro $100、Max $200の月額プランを用意しています。
公式ページではProはStandardの10倍、Maxは20倍の利用枠と説明されています。
一方、公開情報だけでは「Standardは正確に何トークン」といった固定換算は示されていません。
そのためAPI従量課金との損益分岐を、単純なトークン数だけで断定するのは避けた方がよいでしょう。
Sakana AI自身は、本格的なワークロードにはToken Plan、日常的な手動利用にはSubscription Planを案内しています。
100万トークンの文脈は、大量の文書、長いコード、複数資料を一度に参照する用途で便利です。
ただし「入る」と「有効に使える」は別です。入力が増えるほど処理時間や料金も増え、必要な情報が埋もれる可能性があります。
実務では、巨大PDF群の横断分析、長いリポジトリの調査、長期間のプロジェクト履歴など、情報を分割しにくい場面で価値が出やすいでしょう。
Fugu Maxのweb_searchとweb_fetchは公式料金表で1回$0.007です。
エージェントが複数回検索するタスクでは、トークン料金とは別に積み上がります。
APIはOpenAI互換で、既存のOpenAI SDKからbase_urlとAPIキー、model名を変える形で利用できます。
Responses API、Chat Completions、Models APIに加え、Anthropic互換Messages APIも用意されています。
コストを抑えながら日常的なコーディングや分析へ使うなら、まずFugu Maxが比較しやすい選択肢です。
高難度の推論や複雑なエージェント処理で、追加コストより出力品質を優先する場合はUltra v2を検討しやすくなります。
長文だから自動的にUltra v2、という選び方は注意が必要です。
Ultra v2は272K超で単価が上がるため、長文を大量に処理するほどMaxとのコスト差が大きくなります。
料金差を把握するには、入力だけでなく出力も含めて計算すると分かりやすくなります。
たとえば1回の処理で入力100万トークン、出力10万トークンを使い、キャッシュやWeb検索を使わないと仮定すると、Fugu Maxは入力$2+出力$0.60で約$2.60です。
Fugu Ultra v2は通常帯なら入力$5+出力$3で約$8になります。
同じ処理が272K超のコンテキスト料金に該当するUltra v2では、入力$10+出力$4.50で約$14.50です。
実際にはキャッシュ入力やオーケストレーションで使われたトークン、ツール呼び出しも請求に影響するため、単純な「入力トークン数×単価」だけでは最終額にならない点に注意が必要です。
同じ長い前提資料やコードを繰り返し参照する処理では、cached inputの単価差も重要です。
Fugu Maxは100万cached inputあたり$0.25、Ultra v2は通常$0.50、272K超の区分では$1.00です。
固定のシステムプロンプトや共通資料を何度も渡すワークロードでは、キャッシュが効く割合によって実効コストが大きく変わります。
Standard、Pro、MaxのSubscription PlanはSakana AI API Platform向けです。
Sakana AIの料金ページは、Sakana Chatにはこの月額サブスクリプションがなく、API Platformへ加入してもSakana Chat側の利用上限は変わらないと明記しています。
ブラウザでFugu Maxを試したいだけなのか、APIで継続利用したいのかで料金の見方を分ける必要があります。
また、Sakana Chatでは2026年9月17日の更新でFugu Maxが全ユーザー向けに提供されています。
まずチャットで挙動を確認し、アプリや自動処理へ組み込みたい段階でAPI料金を比較する流れも取りやすくなっています。
日常的なコーディング、要約、一般的な分析、大量リクエストなど、コストを抑えながら幅広く回したい場合はFugu Maxが比較しやすいです。
複雑なマルチステップ推論や、失敗コストが高く品質を優先したい処理ではUltra v2を検討する余地があります。
逆に「100万トークンを使えるからUltra v2」「上位モデルだから常にUltra v2」という選び方は料金面で不利になる可能性があります。
特に長文ではMaxの固定単価が分かりやすいため、自分の典型的な入力長と出力量を一度計算してから決めるのがおすすめです。
100万トークン対応は、大量の文書や巨大なコードベースを一度に扱える余地を示しますが、常に100万トークンを投入することが最適とは限りません。
入力が増えるほど、関連情報を探す負荷、処理時間、料金も増えます。
特にUltra v2は272Kを超えると単価が上がるため、長文対応能力と実際の運用コストを分けて考える必要があります。
複数PDFをまとめて比較する、長いリポジトリ全体の依存関係を見る、長期間の議事録から変化を追うなど「全体を同時に参照する価値」が高い仕事では大きなコンテキストが役立ちます。
一方、検索で必要箇所を絞れる仕事では、RAGや事前抽出を組み合わせた方が安く速くなることがあります。
Fugu MaxとUltra v2はOpenAI互換APIとして提供されているため、既存アプリではbase URL、APIキー、model名を置き換える形で試しやすい設計です。
完全に同じ挙動になるとは限りませんが、ゼロから独自SDKへ作り直す必要がない点は導入時のハードルを下げます。
本番移行では、料金だけでなくレスポンス形式、ツール呼び出し、長文時のレイテンシ、既存プロンプトの出力差をテストする必要があります。
特にオーケストレーション型モデルでは、単一モデルと同じプロンプトでも応答傾向が変わる可能性があるため、代表的な業務タスクで比較するのが重要です。
Fugu MaxとUltra v2の違いは、単純な「安いモデルと高いモデル」ではありません。
Maxはコンテキスト長にかかわらず固定単価でコスト効率を狙い、Ultra v2は高難度タスクの品質を優先する代わりに、272K超の長文で料金が上がる設計です。
まず自分の処理が短〜中程度の入力を大量に回すのか、巨大コンテキストで難しい仕事を解かせるのかを分けると選びやすくなります。

