
Kandinsky 6.0 Videoは、映像と音声を同時に生成できる音声付き動画モデルです。
ローカル実行にも対応し、公式資料には家庭用GPUでの動作例があります。
ただし、高性能なGPUに加え、RAMと実装に合った設定が必要です。
試しやすさで選ぶなら、まずLiteの蒸留版を検討し、短い場面を標準解像度で作るところから始めるとよいでしょう。
動画の長さ、発話の正確さ、待ち時間まで含めて判断するため、この記事では機能と導入条件を分けて説明します。
正式名称は「Kandinsky 6.0 Video」。開発元はKandinsky Labです。
公式GitHubは2026年10月6日をコード・ウェイト公開の更新日として記載しています。
論文の初回投稿は10月4日23時19分UTCであり、モデル公開日とは区別します。
オープンウェイトとは、学習済みの数値データを取得して、自分の環境で生成処理を実行できることです。
Lite・Proには通常版、distillと付く蒸留版、pretrainと付く事前学習版が案内されています。
一般的な動画制作では通常版か蒸留版を選び、追加学習・研究向けのpretrainを最初の候補にする必要はありません。
コードのMITライセンスと、モデルカードのMIT表示を確認できます。
商用利用はMITの範囲で認められますが、再配布時の著作権表示などの条件、併用するモデルのライセンス、生成物に含まれる他者の権利は別に確認してください。
非蒸留Proの配布ページにはアクセス条件への同意も表示されています。
5.0の動画生成能力を基礎に、映像と音声の処理を結び付けた構造が6.0の特徴です。
映像で起きる出来事と、それに伴う音を一緒に作るため、素材を生成してから別の音声モデルで音を付ける工程を減らせます。
旧版の最大10秒という仕様を6.0へ引き継いではいけません。
6.0の公開モデルは約5秒のクリップを中心に説明されています。
Text-to-Audio-Video(T2AV)は、場面や動作、音の説明を文章で入力する方式です。
Image-to-Audio-Video(I2AV/TI2AV)は参照画像と文章を使います。
Diffusersの公式モデルカードでは画像が先頭フレームの条件となり、指定サイズへリサイズ・中央切り抜きされます。
人物や商品の端が切れないよう、入力画像の構図も準備しましょう。
発話、効果音、環境音を指定でき、リップシンク、つまり発話と口の動きの同期も機能として案内されています。
ただし、これは任意の台本を必ず正確に読めるという意味ではありません。
複数人の会話では話者の取り違え、短いクリップでは台詞の途中切れなどを確認する必要があります。
日本語発話の品質保証や網羅的な言語別評価は、今回確認した公式資料では確認できていません。
基本は約5秒、24fps、公式表記で44kHzの音声です。
音声のチャンネル数や圧縮形式はここでは断定せず、書き出したファイルを確認してください。
横長の標準生成例は864×480で、高解像度化には別のスーパー解像度モデル(VSR)を使います。
Full HDの1920×1080は、標準動画を拡大して最終サイズへ調整する経路です。
公式サイトのPro欄にFull HDと書かれていても、通常生成から直接1920×1080を指定すれば同じ条件になるとは限りません。
まずベース動画を確認し、採用するクリップだけ高解像度化すると、失敗動画に追加処理をかけずに済みます。[2][8]
パラメータはモデル内部の学習済み数値です。
数が多いモデルほど一般に計算と保存の負担が増えますが、動画制作に必要なメモリは生成モデル以外の部品にも左右されます。
品質の位置付けは開発元の説明であり、AITTによる同条件比較の結果ではありません。
蒸留は生成回数を減らせるよう学習する方法で、モデルを3Bからさらに小さくすることと同義ではありません。
LiteとPro、通常版と蒸留版の二つの軸で選んでください。
ここでは公式情報を確認できる代表モデルを比較します。
WanとHunyuanはローカル向け公開モデルを選んでおり、それぞれのクラウド製品の最新版を意味しません。
料金はサービス・地域・課金経路で変わるため、未確認の月額や単価は掲載しません。
Wanの音声入力で人物を動かすS2Vは、表のTI2Vとは別モデルです。
Kling 3.0は日本語音声を公式に案内していますが、Kandinskyで同じ品質や対応範囲を期待する根拠にはなりません。
Klingには3.0 Turboの発表もあるため、利用画面で選ぶバージョンを確認しましょう。
Googleの現行ガイドはGemini Omni Flashも案内し、Veo 3.1を特定機能向けの選択肢としています。
またSoraは2026年4月26日にWeb・アプリが終了し、APIは9月24日終了と公式に案内されています。
古い比較記事の「現在使えるモデル」をそのまま購入判断に使わないようにしてください。
VRAMはGPU専用メモリ、RAMはPC本体の作業用メモリです。
オフロードとは、モデルの一部をRAMに置き、必要な部分をGPUへ移す方法。
GPUへの常駐量を抑えられますが、RAM容量と転送速度も結果に影響します。
数値は非蒸留モデルの特定設定で測定したPyTorch割当メモリです。
GiBと製品のGB表記は同一ではなく、ドライバーなどが使う領域も含みません。
論文の実16GBカードではプロセスが15.1GiBを使用したとの記述もあり、「SDの7.9GiBだから8GBで動く」という読み方はできません。
これらをComfyUIやDiffusersの最低要件として転記することも避けます。
Proの約58GiBという報告からは、RAM 64GBでもOSや別アプリに十分な余裕が残るとは限りません。
これは測定値に基づく編集上の判断で、公式推奨RAMではありません。
Liteについても、3Bという数だけからRAM 16GBや32GBで足りると断定できません。
スーパー解像度は追加モデルを読み込む処理です。
公式SR実装にはタイル、つまり映像を小領域に分けて処理する方法があり、一度に扱う領域を減らせます。
最初は標準動画を成功させ、その後にSRを追加する方が、どの工程でメモリ不足になったか把握しやすくなります。
ストレージには生成モデルだけでなく、文章を数値へ変えるテキストエンコーダー、映像・音声の変換部品、SR、キャッシュ、生成物も入ります。
ComfyUIの標準ダウンロードは、約19.3GBのQwen3.5-9Bも含むPro蒸留版の一式です。
Liteを選んでもこの共通部品が自動で小さくなるわけではありません。
取得前に対象ファイルの合計を確認し、同じモデルを複数の環境で重複保存しない配置を検討してください。
RTX 4060とRTX 4060 Ti 16GBは区別が必要です。
GPU名、VRAM、RAMをセットで確認してください。
Hugging Faceの汎用サンプルにApple向けMPSのコメントがあっても、音声生成やSRまで実測された証拠にはなりません。
公式リポジトリのCLI、Diffusers、ComfyUIは別の導入経路です。
CLIの現在の案内はNVIDIA GPUとPython 3.13または3.14。
設定ファイルではPyTorch 2.14.1、torchvision 0.29.1を指定し、セットアップはCUDA 13.0向けビルドを選びます。
一般向けGPUではSageAttentionのコンパイルにnvcc、CUDAの開発ツールが必要です。
対して、動画用ComfyUI拡張はComfyUI 0.38.0以上・Python 3.10以上。
SR拡張単体はComfyUI 0.8.0以上・PyTorch 2.8以上を案内しています。
両方を使うときは動画用の条件も満たしてください。
ComfyUIへCLIのPyTorch指定をそのまま上書きする必要はありません。
論文のブロックオフロードにはPyTorch 2.13の条件が記されていますが、現在のCLIの固定依存関係とは時点が異なります。
WindowsではComfyUIのPython環境を使い、CLIのシェル手順をそのまま流用しないようにします。
以下は開発元が案内する手順です。AITTでGPU実機によるインストール・生成試験は行っていません。
開発元の拡張はDiffusersのPythonパイプラインを必要とせず、ComfyUIが読み込みとオフロードを管理します。
第三者のラッパーや量子化モデルを使う場合は別のワークフローとして記録してください。
主な配置場所は次のとおりです。
ファイル名と必要なJSON設定は公式配置表を優先し、ウェイトだけを置いて完了と考えないでください。
ComfyUI/models/diffusion_models/
Kandinsky-6.0-Lite-distill-5s-Diffusers/transformer/
Kandinsky-6.0-Pro-distill-5s-Diffusers/transformer/
Kandinsky-6.0-VSR-distilled2steps-5s-Diffusers/
ComfyUI/models/text_encoders/
ComfyUI/models/vae/
ComfyUI/models/audio_vae/
ComfyUI/models/audio_vae/bigvgan_vocoder/
テンプレートにあるBeautify Promptは、文章を詳しく整える補助機能です。
意図が書き換わる場合はenabled=falseで直接指定し、補助機能のQwen3.5と必須テキストエンコーダーのQwen2.5を混同しないでください。
DiffusersはモデルをPythonから呼び出すライブラリです。
一般的な導入条件はPython 3.10以上、PyTorch 2.6以上でのテストを案内していますが、本モデルの全機能の最低要件を意味しません。
確認したKandinsky 6のドキュメントはmain版で、ソースからのインストールを求めています。
既存環境へ上書きせず、独立した仮想環境にGPU対応PyTorchと必要な依存関係をそろえてください。
以下はuvを用いる公式の編集可能インストール手順です。
GPUに適したPyTorchが選ばれることを確認してください。
これだけでOSやGPUごとのセットアップが完了するとは扱いません。
git clone https://github.com/huggingface/diffusers.git
cd diffusers
uv pip install -e ".[torch]"
uv pip install -U transformers
以下はLite蒸留版の公式用例を、短い独自プロンプトへ置き換えた参考コードです。
APIと引数を公式資料で照合しており、GPU実行は未検証です。
import torch
from diffusers import Kandinsky6TI2VAPipeline
from diffusers.utils import encode_video
pipe = Kandinsky6TI2VAPipeline.from_pretrained(
"kandinskylab/Kandinsky-6.0-Lite-distill-5s-Diffusers",
torch_dtype=torch.bfloat16,
)
pipe.enable_model_cpu_offload()
output = pipe(
prompt="A small robot waves at the camera. Audio: gentle servo whirring, no dialogue.",
height=480,
width=864,
num_frames=121,
num_inference_steps=10,
guidance_scale=1.0,
)
encode_video(
output.frames[0],
fps=24,
output_path="kandinsky6_lite.mp4",
audio=output.audio[0][None],
audio_sample_rate=pipe.audio_sample_rate,
)
モデル単位のCPUオフロードは、論文の16GB向けブロックオフロードと同じ仕組みではありません。
このコードに16GB動作保証は付けられません。Image-to-Audio-Videoではpipeにimage=で参照画像を渡し、音声なしならsample_audio=Falseを指定します。
その場合は保存時にoutput.audioを参照せず、映像だけを書き出してください。
CLIを使う人は公式READMEとJUSTFILEも確認してください。
READMEにあるclone直後の「cd k6_video」は通常のclone先名と一致しないため、その行を丸ごと実行せず、実際の取得先へ移動してからセットアップします。
T2AVでは「誰が、どこで、何をするか」に続け、カメラの動きと音を記述します。
I2AVでは画像に写っているものの説明を長く重ねるより、次にどう動くかを明確にする方が意図を整理できます。
これはプロンプト設計上の提案であり、生成品質の保証ではありません。
ComfyUIの公式拡張では、発話を映像側のcaptionに<S>Hello!<E>のように置き、声の特徴や周囲の音を音声側のcaptionへ書く案内があります。
最初は一人の短い発話や一つの効果音に絞り、複数人の長い会話は後から試しましょう。
シードは生成の出発点となる乱数の値です。
構図を比較するときは同じシードを使い、プロンプトやモデルなど一つの条件だけを変えて記録します。
ただし環境や実装が違えば、同じ数字でも同じ出力になるとは限りません。
最初の生成は公式例の864×480・121フレーム・24fpsを基準にします。
単純計算では約5秒ですが、フレーム数を増やせるAPIがあることと、長い動画の品質が保証されていることは別です。
蒸留版の10 steps・CFG=1と、通常版の50 steps・CFG=5を混ぜないでください。
SRを使う場合は2.25倍の経路を基準にし、最終Full HDサイズへの調整も確認します。
SRは映像を拡大する処理で、台詞の言い間違いや音声のずれを直す機能ではありません。
Diffusersでは生成時の音声を、拡大後の映像と一緒に書き出します。
以下は本記事の作例で、生成・品質検証は未実施です。
日本語欄は意図を整理するための原稿として使い、実際に試す英語例も併記します。
英語で書いても発話や動作の成功は保証されません。
発話タグはComfyUIの公式案内に合わせています。
日本語:カフェにいる成人女性がカメラを見て短く挨拶する。
固定カメラ、自然な表情。柔らかい声と静かな店内音。
英語:A woman in a quiet cafe looks at the camera and says <S>Hello, welcome!<E>. Static medium close-up, natural expression. Audio: a warm voice and faint cafe ambience, no music.
まず一人の台詞で確かめ、二人目を足す場合は発話の順序を明記します。
日本語:小さなロボットが机の上で手を振る。機械の駆動音、台詞なし。
英語:A small friendly robot stands on a desk and slowly waves one hand. Static camera, soft daylight. Audio: gentle servo whirring, no dialogue or music.
日本語:無地の香水瓶をゆっくり回転させる。
白い背景、柔らかい照明、静かな音楽。
英語:An unbranded glass perfume bottle slowly rotates on a white pedestal. Clean studio lighting, fixed camera. Audio: soft ambient music, no speech. No text or logos.
実商品の形状やロゴを正確に保つ必要がある場合は、参照画像を用意し、採用前にフレーム単位で照合します。
日本語:雨の夜の路地を成人が歩く。
カメラはゆっくり後退し、足音と雨音が聞こえる。
英語:An adult in a dark coat walks slowly through a rainy alley at night. The camera tracks backward smoothly. Cinematic lighting. Audio: footsteps on wet pavement and steady rain, no dialogue.
日本語:スーツ姿の猫が椅子に座り、大きなくしゃみをする。
固定カメラ、くしゃみ音、台詞なし。
英語:A cartoon cat wearing a business suit sits in an office chair and suddenly sneezes, then looks surprised. Static camera. Audio: one exaggerated sneeze, no dialogue or music.
日本語:森の小川、木の葉が風で揺れる。固定カメラ、水音と鳥の声。
英語:A quiet stream flows through a green forest while leaves sway gently in the breeze. Static wide shot, natural daylight. Audio: flowing water, rustling leaves and distant birds, no speech or music.
会話を使わない作例から始めると、映像、音声出力、同期の問題を個別に確認しやすくなります。
メモリ不足では、エラーがモデル読み込み、生成、映像の復元、SRのどこで出たかを確認します。
初回はSRを外した構成で試し、公式の対応プリセットや利用実装のオフロードを選びます。
Diffusersには順次CPUオフロードやVAEの分割処理もありますが、メモリ削減と引き換えに遅くなる場合があります。
起動しないときは、ComfyUIを動かすPythonへ依存関係を入れたか、モデルのJSONや音声部品が欠けていないかを調べてください。
CLIの依存関係を既存ComfyUIへ上書きすると、別のノードへ影響する可能性があります。
生成が遅い場合、初回コンパイル・取得・読み込みと生成本体の時間を分けます。
RAMが足りずディスクへ退避していれば、GPUの処理能力だけ上げても改善しません。
公式ベンチマークは暖機後、ウェイト読み込みとMP4保存を除いた条件であり、自分の初回所要時間とは比較できません。
映像と音声を書き出す際のfps、生成フレーム数、音声サンプルレートが元の設定と一致しているか確認します。
Diffusersで映像だけの保存関数を使えば音声が付かないため、公式用例のencode_videoとaudio指定を参照してください。
口の動きが合わない場合は、台詞を短くし、話者を一人にして再生成します。
顔の崩れがある動画をSRで拡大しても、必ず修復されるわけではありません。
I2AVでは入力画像の切り抜き、顔の大きさ、過度な動きの指定も見直します。
これらは切り分けの提案で、品質を必ず改善する設定ではありません。
ワークフロー内の欠落ノード名と、kandinsky6・kandinsky6-srのインストールログを確認します。
標準テンプレートは両拡張を使うため、動画用だけでは欠落が残る場合があります。
非公式ワークフローには追加ノードが含まれることもあり、まず開発元テンプレートで切り分けてください。
PCの設定より作品づくりを優先したい人は、クラウド型の利用条件と費用を比較する方が早い場合があります。
逆に、手元の環境で反復したい人には、モデルと条件を固定して試せる点が判断材料になります。
Kandinsky 6.0 Videoは、短い映像とその場面に合う音を自分のPCで試したい人にとって有力な選択肢です。
採用判断では、GPU容量だけでなく、RAM、使う実装、蒸留版の設定、音声の正確さを一緒に確認してください。
初回はLite蒸留版と短い無言の作例で、音声付きMP4を最後まで書き出せるか確かめます。
その後に会話、Pro、SRを一つずつ追加すれば、制作に使える範囲とPC側の制約を把握しやすくなります。

